目の見えない精神科医が、見えなくなって分かったこと

読んだ本

福場将太さんの『目の見えない精神科医が、見えなくなって分かったこと』を読みました。
福場さんの本は初めてです。

表紙の絵、見たことある感じだなーと思っていたら、鉄拳さんのものでした。
確かにそうですね!
今回の内容にピッタリの、すごく優しいタッチの絵だなと思いました。

著者の福場さんは、1980年生まれで私と同い年です。
波瀾万丈な半生を歩んでこられた方でした。
医学部5年生のときに網膜色素変性症という難病が発覚、直後の医師国家試験は残念ながら落ちてしまったそうです。
将来見えなくなることへの不安で自暴自棄になりそうになりつつも、様々な人との出会いや支えで医師免許を取得し、今は北海道で精神科医をされているとのこと。
そして、今はもう完全に失明してしまったそうです。

とても驚いたのが、「目の見えない医師や医療従事者というのは案外たくさんいる」ということです。
目が見える・見えないにかかわらず、医療従事者の方々には感謝しかないんですが、あの大変なお仕事を目が見えない状態でしているなんて…と本当に驚きました。

福場さん御本人については、本当に温かい人だなと思いました。
今まで歩んできた道は大変な困難が伴っていたでしょうに、挫折なんかもたくさん味わったでしょうに、こうやって温かな本まで出してくださったんですね。
この本は読むことができて本当によかったと思いました。
文章から、福場さんの人柄がすごく伝わってきたような気がします。

「悪意がないのはわかっていても、それでも余裕のない心は言葉に傷ついてしまう」というフレーズがありました。
本当ですよね。
自分に余裕がなくて言われた言葉に傷つくこともあれば、自分に余裕がなくて言った言葉で相手を傷つけることもあると思います。
先日読んだ勝間和代さんの『人づきあいはコスパで考えるとうまくいく』にも書かれていましたし、福場さんと同じく精神科医の樺沢先生もよくおっしゃっていますが、やっぱりよく寝てよく食べて心に余裕がないと気持ちの良い対応なんてできないんですよね。

気をつけなければいけないと改めて思います。

「自分にとって良いものが、誰かにとって苦痛になる場合があります」というのは、わかっているつもりでもわかっていなかったなと思いました。
これも気をつけなければいけないですね。
たしかに最近『セルフレジは障害者・お年寄りに不親切』という記事をよく目にするような気がします。
私は、セルフレジの方が早いし気軽なのでよく使うんですが、やっぱり有人も残すべきなんでしょうね。

「人の「肉体」は年を取ると衰えていきますが、「心」はそうではない。むしろ心は老いの運命に抗って、生き方次第では若返っていくことさえ可能!」というのは、なかなかに希望の持てる話でした。
肉体のアンチエイジングは限界があるけれど、気持ちを若く持つことはいくつになってもできるってことですね。
好奇心はもちろんのこと、感謝の気持ちや優しい気持ちを持ち続ければ、ずっと『若く』いられるってことかな。
『ナイスマインドのグラビア特集』というのには、思わず笑ってしまいました。
「もしも生まれ変わったら、あなたは美しい容姿で生まれたいですか? それとも、美しい心で生まれたいですか?」という一文がありましたが、えんどコイチ先生の『死神くん』の『心美人』という話を思い出しました。

「そしてもしも、あなたが浮気や不倫をしているのなら、バレるのも時間の問題です。だって、浮気をしている人の声だけに含まれるノイズがありますから」という一文がありました。
本当ならすごいですね!
私は別に浮気も不倫もしてないんですが、そんなノイズがあるならば『声紋鑑定』とか流行りそう!
新しいビジネスになったりして(笑)。
でも、浮気とか不倫だけじゃなく、「誰かに言えない重大な秘密」を抱えていると心が休まらないでしょうから、声とか鼓動とか体温とかにそういうのが出そうな気がしますね。
やっぱり、心穏やかに平和に暮らすのが一番です。

そして、「平穏な老後が必ず自分にあるなんて保証はどこにもないのですから」という一文。
本当に、ずっしりと重い言葉です。
福場さんだって、きっと平穏におじいさんになるって思っていたことでしょう。
冷静に考えると、明日と言わずこのあと数分後・数秒後でも、何が起こるかわからないんですよね…。
そのことを忘れずに、毎日後悔のないように生きていきたいと思いました。

診察などは『音声読み上げソフト』を使って行っているとのこと。
具体的になんのソフトをどんなふうに使っているのか、とても興味がありますね…。
「漫画が読めなくなったのが悲しい」と書いてあったけど、本当にそうだと思います。
私も、漫画が読めなくなったら半端なく悲しいと思います…。

福場さんはこの本が1冊目、ということでいいんでしょうか?
お仕事、忙しくてとても大変だと思いますが、機会があったらまた本を出してほしいです。

[AD]目の見えない精神科医が、見えなくなって分かったこと
さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

さちこをフォローする
読んだ本
さちこをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました