発達障害の息子が麻布中学に合格した話。

読んだ本

赤平大さんの『発達障害の息子が麻布中学に合格した話。』を読みました。
赤平さんの本は初めてです。

赤平さんのことを知ったのは、先日の堀江貴文さんの『今やらないやつはバカ! 堀江貴文の ChatGPT 大全』で、です。

今やらないやつはバカ! 堀江貴文の ChatGPT 大全
堀江貴文さんの『今やらないやつはバカ! 堀江貴文の ChatGPT 大全』を読みました。堀江さんの本は『いつまで英語から逃げてるの? 英語の多動力 NEW VERSION 君の未来を変える英語のはなし』以来です。また今回も、タイトルに怒られ...

この本の中に赤平さんのパートがありました。
その中で、赤平さんは、息子さんが発達障害でそのサポートをし、『発達障害』というものをもっと世の中に知ってほしいという思いから『インクルボックス』というサービスを立ち上げていらっしゃいます。

incluvox | インクルボックス
インクルージョンをもっと身近に。gifted・発達障害支援者向け動画メディア「incluvox(インクルボックス)」

サイトを調べたところ、この著書を見つけることができたので、購入して読んでみました。

この本は、決して『中学受験攻略本』ではなく、『短期間集中で有名中学に入学した体験記』でもないです。
そこを初めにちゃんと理解しておかないと、読んでがっかりしちゃうかもしれないですね。
しかし、本当に読んで良かったなとつくづく思いました。

まず、この赤平大さんという方、岩手県出身の元テレビ東京のアナウンサーさんです。
同期には大江麻理子さん、1期下は大橋未歩さんと、ビッグネームと共に歩んだ方のようです。
1978年生まれなので、私の1学年上の方なんですね(私は1980年1月生まれ)。
…すみません、仙台にはテレ東なかったし(今もかな)、テレ東はアニメ視聴がほとんどだったので存じませんでした。
赤平さんは発達障害のポータルサイトのような『インクルボックス』というサイトを立ち上げているんですが、それはご自分の息子さんが『発達障害』と『ギフテッド』の特性を合わせ持つ、いわゆる『2E(twice-exceptional)』だから、とのことです。

『2E』については別の本で読んで知っていました。
「ひょっとしてうちの息子も2Eかも?」と思ったこと時期もあったので、そのあたりの本もそれなりに読んでいたんです。
ただねー…この赤平さんの本を見たら、「そんなこととてもじゃないけど言えない」という感じでしたねー…。
そして、『ギフテッド』かなと思う度合いも『発達障害』としての度合いも、うちの息子は少なめかな、と思いました。
まー、精神科医の益田先生が「『ギフテッド』の正確な定義は IQ130くらいかもしれないけど、もっと広範囲に『クラスに一人』くらいまで考えてもいいかもしれない」とおっしゃっていたので…。

まず、赤平さんの息子さんについて、「道を歩いてても飛び出してしまう」「学校に行って腹ばいになって本を読んでいる」などがあったそうです。
…うちの息子も少しありましたけど、まーそこまでではないという感じでした。
息子が通っていた幼稚園からは、写真を突きつけられて責められましたけどねー…(いまだに根に持っています)。
うちの息子の場合、一応座って授業を受けることはできますし、独り言が多いものの一応はルールに則って授業を受けることもできているようです(多分)。
なので、一応『グレーゾーン』ということではなってるんだと思います(『一応』ばっかりですね)。

赤平さんの息子さん、『毎日1時間朝に勉強』とか、本当にすごいと思いました。
タイトル通り麻布中に、それこそ受験2ヶ月前から『受験勉強』を取り組んで合格したんですが、もちろん『勉強』を2ヶ月前から始めたわけではないんですよね。
小学校1年生のころからコツコツとやっていて、算数検定も小学校3年生で中学終了までやってしまっていて、という状況です。
その下地はあってのこの話、ということをちゃんと理解しないと大変な誤解が生ずると思いました(笑)。

息子さんにとってものすごく幸運だったんだろうと思うことは、赤平さんは本当に本当に息子さんのことが大好き、ということでしょうね。
お父さんがずっとこんなに尽くして無償の愛を渡し続けることができるというのは、本当に尊敬します。
発達障害の子どもがいると、『普通のことが普通にできない』から『うまく愛情をかけられなくなる』に発展し、そこから『虐待』になってしまうケースが多いと聞きます。
ましてや、こんなお父さんなんて、本当に本当にレアケースでしょうね…。
以前読んだ『自閉スペクトラム症』という本にも、『風呂場の中で子供と1日中過ごして、自閉症から回復した』みたいなエピソードがありました。

自閉スペクトラム症
岡田尊司さんの『自閉スペクトラム症』を読みました。岡田さんの本は『アスペルガー症候群』以来です。前回の『アスペルガー症候群』のときも書きましたが、私には現在小6の息子がいて、幼稚園の年長くらいで問題行動が目立ちはじめて児童精神科に通い、小1...

その本を読んで、「やっぱり結局は、そういう接し方をしなければ『回復』しないのか」と思い、すごく絶望的な気持ちになったのを思い出しました。
正直、今回もちょっとその気持ちを味わうことになってしまいました…。
私は、やっぱりここまではできないな、と思ってしまったというか。

といっても、参考になることはすごくたくさんありました。
やっぱり『キッチンタイマー』を使って時間を区切るのはいいんだな、と改めて分かりましたし、『スタンディングデスク』もはまればはまるんだな、と。

集中できないのは、部屋のせい。
米田まりなさんの『集中できないのは、部屋のせい。東大卒「収納コンサルタント」が開発! 科学的片づけメソッド37』を読みました。 まー、散らかってると集中できないですよねー。「仕事に集中力はいらない」と言っている方々もいらっしゃいますが、私は

一応、息子の机はスタンディングデスクにしてるんですが、「中学受験しない」と決めてからは、すっかり荷物置き場になってしまいました…。
まぁ、4月から中学生なので、もう1回仕切り直しですねー。

あとは、『リビングとかには極力ものを置かない』ということを徹底してるというのはすごいなと思いました。
やっぱり気が散るんですかね…。
うちのリビングには私の amiibo がいっぱい置いてあります…。
タブレットも飾ってあって写真も流してるいるんですよね…。
息子にとってはいけない環境なんでしょうかね…やっぱり。
今まで本人から言われたことがなかったから記にしてなかったんですが…。
でも、彼には自分の部屋があるんだから、部屋行ってほしいわー。

1個だけ反論したいのは、「子供にゲームをやめる約束をさせる話」のところです。
赤平さんが「ゲームはあと10分やったら終わりだよ」と声をかけたとき、赤平さんの中では「ゲームのソフトを閉じて本体のスイッチを切るところまでで10分」という認識だったとのこと。
それは厳しいーーーーーーーー!
10分がタイマーが鳴って、そこで初めてやめるものです…。
むしろ、そこからセーブ可能な状況まで進めます…。
もしそうなんだったら、そこまでちゃんと説明してあげてほしい…切実に。
こればっかりは、息子さんに味方してあげたいなと思いました。
本当はいけないのかもしれませんが、でも気持ちがすごくわかる。
もう40年以上ゲーマーですから。

赤平さん本人が、「自分に知識や経験が乏しいがために、スタッフから信用してもらえなくて猛勉強した」というエピソードがありました。
…アナウンサーって大変なんですね…。
私は、ニュースは淡々と事実だけ教えてもらえればいいから、キャスターの人とかゲストの人とかの意見とかどうでもいいからタイプで、「ニュースだけ教えてほしいな」と思うんですけど、やっぱり現場では違うんですね…。

息子さんと試したさまざまな方法は、ちゃんとエビデンスがあるものから順番にやっていくのを徹底したとのこと。
これはやっぱりすごいですね。
精神科医の樺沢先生も本当おっしゃっていますが、「エビデンスはただ単にエビデンスではあるが、それでも確率が高いところから試していく方が失敗が少ない」とたびたびおっしゃっているので、そのやり方はやっぱり理にかなっているんですね。

最後、息子さんが麻布中学に受かったにもかかわらず、別の中学校に進学するかどうか迷っていた2週間程度の時期がありました。
本当に大変だっただろうなと、読みながら泣いてしまいました。
お父さんである赤平さんの心配もよくわかります。
今までずっと登下校も一緒にするぐらい手をかけていた息子さんです。
1人で電車乗らせて、1人で学校行かせるなんて想像ができなくて怖いですよね。
でも、息子さんの「麻布に行ったら自分は変われるかもしれない」という言葉も本当に気持ちが伝わってきて、どっちの気持ちもよくわかるので涙が出てしまいました。
結果として、息子さんは麻布に進学することにしました。
もちろん心配事もいっぱいあったでしょうし、そのためにたくさん対策もしたでしょうし、現在進行系でご苦労もたくさんされたんだろうと思います。
でも、やっぱり「やればできる」みたいなことはあるんだろうなと思いました。
ちょっと毛色が違う話かもしれませんが、樺沢先生も「昔、精神科に入院している患者さんのお母さんが亡くなって、この人はどうやって1人で暮らしていくんだろうと思ったら、意外と普通に暮らしてた」というお話を YouTube でよくされています。
きっと、そういうことなんだろうなとも思います。

本書を読んで1つ驚いたのが、『発達障害の小中高大の割合』の話でした。
小学生だと全体の10% ぐらいだと言われているらしいんですが、大学生だとそれよりもすごく少なくなっている、という話があります。
樺沢先生は「年齢を経て良くなっていく傾向もあるから、発達障害だと判断される人が減っていく」とおっしゃってて「そうなのかー」と思っていました。
でも赤平さんは、「そもそも発達障害の人が大学に進学する割合が少ないからなんじゃないか」と書枯れていました。
情けない話ですが、その考えに至らなかったです…。
まぁきっと、結論としては両方なんだろうなとは思います。
けど、盲点でした…。

いろいろ有用な話もありましたし、インクルボックスという新しいサービスのことも知ることができました。
すてきな親子だと思いました。
実際はもっと大変だとは思いますが、ずっといい関係が続くといいなと思います。
…うちもねー、がんばろうと思いました。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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