今井翔太さんの『生成AIで世界はこう変わる』を読みました。
今井さんの本は初めてです。
去年の初めに出た本です。
この、流れが早すぎる『生成 AI』界隈で、1年以上前に出た本なので「今となってはあまり読んでも役に立たないのでは…?」とちょこっと思ったんですけど…いやいやそんな事はありませんでした。
発売から1年5ヶ月経過して、もちろん状況が変わった部分もありますが、『大枠の流れ』としては「書かれている通りになっているな」という感じがあります。
内容はとってもおもしろかったです。
「できる限り普遍的なことを書きたい」という著者の今井さんの思いもあって、状況をとてもわかりやすく書かれているなと感じました。
生成 AI はそもそもどういうものなのか、ということがかなり詳しく分かりやすく書かれていて、「なるほどな」と。
例と挙げられていた文章があったんですが、確かに『4つの選択肢』の中からどれを選べばいいか、単語だったとしても、前後のニュアンスの違いからどっちが正解なのかは変わりますね。
それを、大きな大きな規模のモデルを解析して『一番確からしい』ものをつなげていく、という手法。
やっぱり、すごいことを考えるなーと思いました。
私くらいの年代ですと、『AI』という単語に最初に触れたのは「ドラクエ4」っていう人が多いんじゃないでしょうかねー。
あの AI は、今思えばすごく画期的だと思うんですが、当時は「何でクリフトはザキ・ザラキしか唱えないんだよ」という悲しい結果になってしまいました。
ま、それはそれでいい思い出なんですが、「AI って何なんだろう」ていう根本的な問いを、我々の心に残しましたよね…。
「初めて戦う敵は弱点がわからないから、いろんなものを試す」というのは、あとからの理解ですからねー。
それが30年以上経って、こんなに使えるものになったのか、という印象です。
ChatGPT をほぼ毎日使っていますが、本当に便利で、私がやりたくないようなことをいろいろ回収してやってくれてるので、本当にありがたいと思っています。
すごい世の中だなって。
この分野は日進月歩なので、あっという間に古い情報になってしまうんですが、先程も書きましたが、この本はできる限り普遍的な部分を書いてくれていたので、読み応えがあって本当におもしろかったです。
本書にも書かれていたんですが、確かに数年前発表された『AI で代替される職業』といったら、肉体労働が伴うブルーカラーのものばかりがあげられていました。
でも、こんなに AI が進化した今の世の中だと、ホワイトカラーの仕事の方がどんどん奪われますね。
だからこそ、『AI と共に生きていく』という考え方がすごく必要だなと思いました。
以前、浜辺美波さん主演の『ドクターホワイト』というドラマがありました。
私は結構好きで小説も読んだんですが、その中に主人公の白夜ちゃんと AI の病気診断が対決するという話がありました。
ドラマなので、結局は白夜ちゃんの方に軍配が上がるという展開だったんですが、白夜ちゃんのように判明しているすべての病気を網羅的に覚えている医師が本当に存在するのか、という問題になりますよね…。
なので、ドラマや小説を見ながら「白夜ちゃんと AI が協力すれば本当に最強なのでは」と思ったのを覚えています。
そして、その考えは今でも変わらないですし、むしろ強くなっていますね。
やっぱり、白夜ちゃんみたいな子は存在しないわけですし、普段ほとんど接しない症例は忘れてしまうのも無理からぬことだと思うので、網羅的に探してくれる AI みたいなものを使って、かつ自分の経験から判断すれば本当に見落としもない素晴らしいものができるんだろうなと思います。
私の夫の妹は、子宮頸がんの発見が大幅に遅れてしまって帰らぬ人となりました。
病院は何件も受診していたようなんですが、見つけられなかったようです。
それがこれに当てはまるかはわかりませんが、より確実に病気を見つけてもらえたらいいな、と思います。
他にもいろんな分野で使っていって、人間がより暮らしやすい世の中になっていけばいいな、と思います。
あと、『AI が描いた絵にハッシュタグをつけ忘れて投稿した作品が、一番閲覧数が高かった』というのは、なんだか皮肉っぽいというかおもしろいというか。
『人間が描いた』ということ自体に価値が出てくる世の中なんですね。
そして、元々うまく書けるイラストレーターの人が、AI を利用してタイパよく描くというのが、これからはどんどん需要が高まっていくんでしょうね。
それは絵だけじゃなくて、作曲とかプログラミングとかでも、結局そういうことなんでしょうね。
以前読んだ『いつまで英語から逃げてるの?』でもそう思ったんですよねー…。

最後に AI の東大の松尾教授がインタビューで答えていらっしゃいました。
「他の人はやりたがらない極端なことをやる、ということが勝ちパターンだ」とおっしゃっていました。
よく YouTuber のまこなり社長もご自身の YouTube でそうおっしゃっていますね。
でも、実際は難しい…。
新しい技術が生まれれば必ず反発も生まれるし、悪いものに転用されることもありますね。
変に政治的な思惑が反映されてしまうこともあります。
できるだけそういうことがないように、この技術を進めていてほしいなと思うんですけど…難しいですかねー。
利用者みんなが幸せになれるといいんですけど…。
Kindle Unlimited で読みました。
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