雫井脩介さんの『犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼 上』を読みました。
先日の『犯人に告ぐ 下』の続刊です。
犯人に告ぐシリーズの第2弾です。
今回も前回のようにテレビを使った公開捜査的な感じなのかと思いきや…またちょっと趣向が違う感じでした。
しかも今回は誘拐ビジネス!
なんか本当にきな臭いというか…。
そもそも、振り込め詐欺のを組織的にやっていた犯行グループだったんですが、警察に大半がパクられてしまいました。
その残った人たちが『一発逆転』という感じで誘拐ビジネスに乗り出した感じです。
最初に軽いジャブのような感じで、一人さらってすぐに開放したことで、「あれは一体何だったろう?」という感じを世間に植え付けることに成功しました。
実は、裏でちゃんとお金はやり取りされていたんですが、それを隠しているもんだから、「ビジネスライクに、失敗したらすぐ解放するっていう感じなのか?」と思わせるような狙いもありました。
次に子供1人とその父を誘拐、先に父の方を解放しました。
父の開放直前に、身代金の受け渡し方法とかを全部口頭で伝えてしまっているので、連絡を取る必要もないと。
なるほどなーと思いました。
しかも、父を監禁していた部屋の壁にはさまざまな成人男性の顔が貼ってあるもんだから、実際に見たはずの犯人の顔とごっちゃになって、犯人の顔の記憶が曖昧になるというおまけ付き。
これはすごいなあと思いました。
いわゆる『誘拐ビジネス』が普通に行われている現場だと、これって常識だったりするんでしょうか?
そもそも『誘拐』って、以前読んだ『存在のすべてを』でも思いましたが、本当に割に合わない犯罪だと思います。
…もちろんやっちゃいけないことだとわかっていますけど、罪の重さとリスクと金額が釣り合わないような。
受け渡しの瞬間が一番狙われやすい、失敗したら人質が殺される可能がある、など、どちらにとってもものすごくリスクが高いですよね。
その割に、直接授受で接触しなければいけない、現金だと番号を控えられてしまう可能性がある、などリターンもそこまで高くない犯罪だと思うんですけど…。
まぁ、犯罪なんてそもそもリスクとリターンがあっていないことですけどね。
そこをクリアしてビジネスに昇華させようという気概は、素直にすごいなと思いました。
…でも「取引だ」「契約だ」みたいな感じで推し進めてこようとしますが、全然平等な契約じゃないんですよね。
だって、こっち側には不利益しかないわけですから。
1人目の被害者については、かなり後ろ暗いことをやっている人だから、まぁ少しは仕方ないかなと思ってしまいますが。
今回さらわれた男の子と父は、個人的に恨みがある犯人はいるけども、でも別に何かを直接されたわけでもないのに。
そんなのに屈して大金を払わなきゃいけないっていうのは、かなり理不尽だなと思ってしまいます。
息子の命がかかってるからその理不尽を無理やり飲み込むという感じでしょう。
今回は上下巻の上巻を読んだんですが、ほとんどが『犯人側』の描写でした。
巻島さんたちがどういう感じで捜査を進めようとしているのかは、まだあまり描かれていない感じです。
今回、巻島さんがどんな方法でこの犯人たちを追い詰めるのか。
期待しています。
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