雫井脩介さんの『犯人に告ぐ 上』を読みました。
雫井さんの小説は初めてです。
タイトルがかっこいいですよね、ずっとそう思っていました。
『犯人に告ぐ』の他に『犯人に告ぐ 2』と『犯人に告ぐ 3』も出ているようです。
雫井さんの小説読んだことないし、連続モノだとな…と思って敬遠していたんですが、今回 Audible にあると知って読んでみました。
以前の『成瀬は天下を取りにいく』のときも「『新規 IP』は手を出しづらい」と書きましたが、定額だと気軽に読めるのがありがたいです。

そして、やっぱりどっぷりハマってしまいました。
メインは『男児連続殺害事件』の犯人を、あるテレビ局のニュース番組に捜査責任者が出ることによってあぶり出そうという、『劇場型捜査』の話です。
その事件発生の6年前、主人公の巻島さんは誘拐事件の捜査に『失敗』していました。
そのパートを読んでる最中で「なんだか切迫感・緊張感がないな」と思ったり、被害者家族への言葉遣いもちょっとぞんざいな感じで嫌な感じがしたり、違和感がすごくありました。
例えば美容師さんなんかも失敗したらなかなか取り替えしがつかない仕事ですけど、そんなに毎回ガチガチになって作業してないと思いますが…。
だからといって、『誘拐事件』は人命がかかっているのでもうちょっと真剣にやってほしいな…なんて思いながら読み進めていました。
案の定…男の子は殺されてしまって、さらにその事件の記者会見で大ミスをやらかしてしまって、巻島さんは左遷されてしまった模様。
ただ、左遷先で腐らずに結果を出したため、また呼び戻されて、この『劇場型捜査』を担当することになりました。
テレビ局に対しては『情報提供を募るため』と告げていますが、本当は『犯人をあぶり出す』のが目的です。
そして、植草という巻島さんの上司にとっては、現在ライバル局で女子アナをしている昔の思い人を振り向かせる手段になってしまいました。
様々な思惑が交錯する中、初回の放送が終わるところまでがこの上巻で描かれていました。
こういう手法ですが、ドラマや映画だとたまに見ますけど、実際ではあまり聞いたことないような気もします。
『犯人は今』みたいなドキュメンタリー番組はたまにやりますが、それよりもかなり緊急性が高く、発生時期も近くて、耳目を集めやすい感じですかね。
最初の誘拐事件の時、同時進行で巻島さんの娘が出産中に大変な状態になってしまったということがありました。
確かに、謝罪会見をしている人も一人の人間で、その背景にはいろんなドラマがあるんですよね。
私たちはそれを知らないから、今見えているものに対してわかりやすく批判してしまうなと思いました。
今回の巻島さんのように、そういう人たちも今何かとても大切な別のことを考えてるかもしれないんだなー、って。
叩きやすいところだけを叩く人間にならないようにしようと思いましたね…。
その時の娘さんと赤ちゃんがどうなったのかすごく心配だったんですが、どうやら無事なようで…良かったです。
赤ちゃんもすくすく育って大きくなっているようですし、そちらの憂いが解消されていて良かったなと思います。
巻島さんの上司・植草のですが、大学時代はまさに『東京の大学生』っていう感じでしたね…。
私は地方の大学だったので、まったく共感ができませんでした。
東京の大学生ってこんなかんじなの…?
ちょうどバブルの時期だったから…?
植草は元想い人の女子アナにどんどん情報を流していますが、結局最後は体よくあしらわれて終わりなんじゃないかな、なんて思いますけどねー。
まぁでも、キャリア組国家公務員だったらワンチャンあるのかなー、なんて。
その成れの果てが『震度0』みたいな世界だったら本当にがっかりですけどね。

さて、これから放送の回数を重ねて犯人に迫っていくんでしょうね。
犯人までたどり着けるのか、どんなふうに近づいていくのか、楽しみです。
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