櫛木理宇さんの『殺人依存症』を読みました。
櫛木さんの小説は、以前『死刑にいたる病』を読んだことがあります。
この本は2022年に購入して1回読んでいました。
今回再読したのは、この『殺人依存症』シリーズ(?)の第3弾『監禁依存症』を Kindle Unlimited で見つけたからです。
『監禁依存症』を読んだんですが、「そういえばこんな内容があったような、そんな気がしないでもない…」と記憶がおぼろげだったんですね。
おおまかな内容は覚えていたので、初回に読んだときほどの衝撃はありませんでしたが、それでもちょっとしんどかったですね…。
しかし、一瞬目が合っただけで、お互いが宿敵・天敵だということに気付くというのもすごいですが、だから接触を避けるならまだしも、相手の子供をさらってひどい仕打ちをして殺しちゃうんですもんね…。
なんということをしてくれるんだ、と思います…。
ときどき描かれる『女性の犯罪者』、例えば『連続殺人鬼カエル男』だったり、以前読んだ『絶叫』だったり。


あとは、昔読んだ『バトルロワイヤル』の相馬光子だったり。
…映画では柴咲コウさんがやった役です。
これらの人たちは、まさに相馬光子の「奪われるより奪う側に回りたかっただけ」というセリフを思い起こさせるような感じですね。
それぞれつらい過去があって、誰も助けてくれなくて、「だったら」と『そっち側』に回ってしまうところが共通しているような気がします。
まぁ、相馬光子は厳密には『犯罪者』ではないですかね。
幼い頃から虐げられて、いろんなものを奪われてきて、少し成長して自分が奪われる側に回れるようになったときに、もう「全部を奪い尽くしてやろう」って思ってしまうんですかね。
今回それが、女子供に向いてしまったのは、本当に悲しいことでした。
「自分を苦しめてきた本人にやれよ」と思いますが…今回の浜真千代については、彼女を苦しめてきた『本人』たちには、すでに思う存分にやり尽くしているんですよね。
『殺人依存症』が終わったあと、『残酷依存症』と『監禁依存症』ではちょっとした『義賊』的な方向に行くのことになります。
なので、今回は最後の『私怨』っぽい行動になるわけですが…。
まーーかなりきつかったですねーーー。
そして、櫛木さんの手法なんでしょうけど、ミスリードを招くように書かれているところが多くて!
あと、時系列もわざとバラバラになっていることがあるので、本当に焦ってしまいます。
読んでいて、あの結末が分かっていたのである程度冷静でいられましたけど、最初に読んだ時はかなり混乱したのを覚えています。
前に読んだのが2年前ぐらいだったから、今みたいに感想も書いていなかったので、細かい部分は覚えていませんでした。
今回直前に『監禁依存症』を読んだことで、「やっぱり前の話を覚えてないとおもしろくないな」と思って『殺人依存症』から読み直したんですが…何度も書いていますが、まーーーきついです。
本人たちに何の非もないのに、こうやってひどいことをされるの見る(読む)のもきついですし、痴漢の話とかは心を削られますね。
もちろん、男性がこういう人たちばっかりではないということはわかっています。
でも『犯罪加害者の男女比』は男性が78.5%、女性が21.5%とのことで男の方が多いですし、ターゲットは女性になることも多いです。
一般的に、ですが、やはり力では負けてしまいますからね…。
宮部みゆきさんの『模倣犯』でも同じことを思いましたが、まぁ気持ちは塞がりますね。

あとはまぁ、いわゆる『ホモソーシャル』がこれでもかというくらい書かれていますね。
男性の中の独特の世界観が醸成されている世界、怖いです。

『同志少女よ、敵を撃て』の最後の方なんかも、悲しかったです。

最後、真千代と対峙したところでの巧みな会話術というか、主語をきちんと言わないで話を進めていくあたり、すごい流れの持って行き方ですね。
絶対勘違いするでしょうし…。
「今のところは」、それで幸せなんだったらいいのかなと思いますけど…。
まー、砂上の楼閣ですよ、先を読んでいるので知っています(笑)。
架乃に知られないうちは架乃の気持ちは守られますが、浦杉さんの気持ちはずっと辛いままでしょうね。
結果的に亜結は亡くなっていますし、自分にとって一番憎い犯人の名前も分からずでしたが、今は架乃が生きて帰ってきたことを素直に喜んで欲しいです。
まぁ、この先どうなるか、知っているんですけどねー。
コメント