宮部みゆきさんの『模倣犯 4』を読みました。
先日の『模倣犯 3』の続刊です。

カズとヒロミが死んでからのお話です。
最後の犠牲者である由美子がピースの手にかかるまで、どんな経緯で懐柔されていったかが描かれていました。
今まで『ピース』としか出てこなかった彼が、ここでようやく『網川浩一』という名前を得て、ちゃんと『人間』として描かれだしました。
『ピース』と『浩一』の間で、整合性が取れている部分と取れないと感じている部分があって、なんだかとても混乱しています。
あんなにひどい犯罪をした人間が、どうしてこんなに周りの人間から好かれてチヤホヤされて、どうしてこんなに由美子に優しくできるのか。
既読なので知っているのですが、最後は彼女を死なせるために優しくしているだけなんですけど…。
それでも、それにすがりついて生きていくしかない由美子にとって、ピースの存在がどれだけの救いになっていたか。
そして、最後どれだけ絶望に突き落とされたか…。
苦しいです。
本当にこんなヤツいるのかなって。
もちろんこれは小説なんですけど、でもきっといるんだろうなって思えてしまうところが、また苦しいです。
この『模倣犯』の事件はものすごくセンセーショナルだからというのもありますが、なにか1つ事件が起きると、本当にありとあらゆる方向に影響が及んで、些細なことから大きいことまでいろんな人に迷惑がかかるんだな、と改めて思いました。
弁護士の詐欺の一件とか、真一くんの彼女との別れとか。
真一くんに付きまとってくるめぐみのこととか、有馬さんのお豆腐屋さんが潰れてしまいそうなこととか。
警察もいろんなところに駆り出されて大変ですね。
人は一人で生きてるわけじゃないのでそうなんでしょうけど、本当にいろんなところに影響が出るんですね…。
Amazon のレビューかなにかで『声優の対談のくだりはいらないんじゃないか』みたいなコメントもありましたが、あれはあれで「滋子さんを擁護している人もいるんだ」という証になったよなと思いました。
真一くんにつきまとっている犯人の娘・めぐみ。
彼女のことは全く好きになれないんですが、でもなにか気になります。
前回は『ソロモンの偽証』での垣内美奈絵っぽいと書きましたが、それよりは樹里の方なのかな…とも思い始めました。

現在の生活については…なんというか、自業自得とはいえかわいそうになってきたなという気持ちがあります。
でも、やっぱり自業自得なんだよな…。
いまいち同情しきれないというか…。
彼女に対する気持ちの持っていきようが難しいです。
それにしても、早くカズの汚名が雪がれて欲しいと思います。
由美子はもう何がなんだかわからなくてぐちゃぐちゃしてるだろうし、私もそうなんです。
もちろん、カズが犯人じゃないと知っているので、やきもきというか、「もう何でみんなわからないんだろう」って思ってしまいます…。
でも、実際の事件もこんな感じ何でしょうね、きっと。
一部の真実を知る人たち以外は、マスコミやネットの情報に踊らされて、好き勝手垂れ流してると思われてるんでしょうね。
ラスト一巻です。
最後の最後まで気を抜かずに読んでいきたいと思います。
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