棘の家

読んだ本

中山七里さんの『棘の家』を読みました。
中山さんの小説は『夜がどれほど暗くても』以来です。

蓋を開けてみて、私は『真犯人』よりも、こんな状況下で浮気未満のふわふわしている人の方が、よっぽどムカついてしまいました。
日常に刺激がないのは分かりますが、「状況を考えろよ」と言いたいですね…。
今回の事件が起きたとき、誰よりも憤っていたのはその人物だったんですけど、自分がやっていることの後ろめたさの裏返しから来る行動だったのかな、なんて勘ぐってしまいます。
それを受けて、誤認逮捕された人物が健気でかわいそうだなと思ってしまいましたね…。

主人公の男性は、娘が他人を利用する姿を目の当たりにしてしまい、ショックを受けていました。
まぁ、娘も小学校6年生なわけですし、それぐらいの二面性はありますよね。
自分も小学生だったときに持っていたと思いますよ。
しかも女児なわけですしねー。
だから、お父さんがそんなに気に病むことはないんじゃないかなと思います。
中学校に行けば、もっと複雑な駆け引きというか思考の探り合いみたいなものが起きるわけですから、この程度は許容範囲かなとは思います。

彩が娘の由佳をいじめてたわけですが、そのやり口がゾッとするなと思いました。
見えないところをつねる、ゴキブリを食べさせようとして土下座したところを写真に撮る。
やってることが『昭和っぽい』なと。
もちろん「スマホ学校に持って行って OK なんだ…」という驚きもあるんですが、「撮影しちゃったら、自分が犯人ですって言ってるようなもんなのに」という驚きもありました。
そういうところがやっぱり小学生、ということなんでしょうか。
むしろ娘もスマホを学校に持って行って、録音でも録画でもしておけばよかったんじゃないかな、と。

『生活保護』云々というのも、そのキーワードからそこまでいじめちゃうぐらいの感じなんだな、と思いました。
もちろん、不正受給している人の話を聞くと正直ムカつきますが、正当な理由があって受給しているのであれば、別に自分じゃないんだからどうでも良くない? と思うんですが…。
いつなんどき、自分だって生活保護に頼らなければ生きていけなくなるかもしれないのに。
まぁ、自分の子供にはそういうことをちゃんと話しておこうと思いました。
本当に困ったときに生活保護を受けるのは、決して恥ずかしいわけではないのですから。

真犯人に関しては、本当に本当に、『クビに指紋がなかった』というところまで分からなかったです。
確かに「指紋出ないのかな」とは思いましたけど、そこからそう繋がってくるかーと。
真犯人と話したときに「随分他罰的な人だな」と思いはしたんですが、それがそこに繋がっていったんですね…。
殺人なんかしたら、全部終わりだというのに。
そこにも気づけないのかな、なんて思ってしまいました。

殺害された彩の父親が、随分『ガタイが良くて強面の人』と強がされていたように思いましたが、それは『父は家庭内で暴君だった』と示したかったんでしょうか?
外で話したときは、結構腹を割って素直にしゃべってくれる人かな、という印象でしたが、まぁ外で話すのと家庭内ではギャップがあってもおかしくはないってことですかね。
彩も、「いじめの構図として、弱いものが弱いものをいじめる」とありましたから、彼女も『弱いもの = 家庭の中では虐げられていた』という解釈でいいんでしょうか。

にしても、今回の話、我が家と家族構成が同じでしたし、なんだかあまり人のことだと思えませんでした。
「自分がそうなったらどうしよう」なんて考えながら読んでいました。
少なくとも、私が喫茶店で写真を見つけたら、マスターに事情を全部説明してもらって帰るな、とは思いましたけど。

蕁麻(イラクサ)は見たことなかったので、どんなものか調べてみました。
結構緑みどりしていて、チクチクしてそうな葉っぱでした。
『蕁麻疹』という言葉の「ジンマ」の部分が、このイラクサの親戚のことを指していると書いてあったので、「触ってかぶれたりする」というのはなんとなく納得できました。

「家庭は、安心できて、安全で、みんなの避難場所になってほしい」とは思いますけど、それを運営していくのはやっぱり努力が必要なんだな、と改めて感じました。

Audible で読みました。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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