昨日がなければ明日もない

読んだ本

宮部みゆきさんの『昨日がなければ明日もない』を読みました。
先日の『希望荘』の続刊です。

希望荘
宮部みゆきさんの『希望荘』を読みました。先日の『ペテロの葬列』の続刊です。 『杉村さん2.0』という感じで、新たな人生を歩みだした杉村さんの物語です。今多コンツェルンを辞めたので、『広報 あおぞら』の編集部や今多コンツェルン関係者なんかはほ

さて、これが杉村三郎シリーズの、今のところの最終巻です。
短編集…というか、中編集ですかね?
3つの話が入っていました。
今回のテーマは『杉村vs.〝ちょっと困った〟女たち』とのことなんですが…。
ほんとね、『ちょっと』どころじゃないくらい困った女たち、ですよ…。

まず、最初の『絶対零度』。
…胸糞オブ胸糞、久しぶりに本当に腹わたが煮えくり返るような話でした。
最初、若い主婦の行方不明と聞いた時、殺されちゃってるのかなとか、どっかに拉致監禁されてるのかなとか、彼女の心配をものすごくしてしまいました。
けど、全部無意味だったよね。
女の敵は女か。しかも前科あるじゃん…。
最後に出てきた刑事に対して杉村さんが言った言葉は、本当にそうだと思いました。
あの時に逮捕されていれば、今頃幸せに暮らせていたのに、と。
杉村さんはとてもつらかったでしょうね…。
最近は『弱者男性』となどと言われているかもしれないですが、それでもやっぱり女にとって男の人というのは、自分よりも体が大きくて力も強くて、暴力を振るわれたらひとたまりもないってわかってるから逆らえなくて。
…実際にこんな目に遭いそうになったら、どうしたらいいんでしょうか?
杉村さんも「自分には娘がいるから」と言っていました。
私にも娘がいますから、そんなことになった時にどうしたらいいんだろうと本当に思ってしまいます。
過去に実際に『そういう事件』があったのも知っているので、効果的な対処方法があるのであれば教えて欲しいですね…。
知名度とか偏差値が高い大学とかに行ってれば大丈夫って、もはやそういうものでもないみたいだから、どうしたら『そういう被害』に遭わなくなるのか、知ってる人がいたら教えて欲しいです。
「夫(佐々)はげっそりとやつれていた」って優美は言っていましたが、そんなの勝手ですよね…。
『そういうとき』には男だって隙だらけになるんですから、無防備な時を狙って後ろから殴ってでもでも止めればよかったじゃないですか。
そんなことできないんだったら同類です。最低。
実際、自分だって一緒になって『楽しんだ』んでしょ…。
前回の『希望荘』のときも書きましたが、宮部みゆきさんの短編って、意外とこういう感じで後味が悪いものが多いです、ほんとに。
結構油断して読むと、ものすごい一撃を食らわされることがありますので、要注意です。

次は『華燭』。
『(結婚式の席上の)華やかなともしび』とのことで、『華』やかな『燭』台、ですかね。
前の話に比べれば平和と言うかなんと言うか。
人は死ななかったし、まぁ円満に収まったような気もするので、良かったんじゃないかなとも思います。
当事者たちにしてみれば大変だったでしょうけどねー。
自業自得かな、とも思ったりして。
ちゃんと最初の依頼にもオチがついてたから、ちょっとすっきりしました。
にしても、同時間の結婚式2つがパーになってしまって、関係者一同はきっと「呪われてる」と思ったに違いないですね。
金田一少年の事件簿の『首吊り学園』の結婚式場のようですね…。
あ、そこまで酷くないか。
私はバツイチなんですが、はじめの結婚式は別荘地だったし、今のは海外で挙式したので、同じ時間帯の花嫁と友達になるということが実際にあり得るのかどうかがわからないです。
でもまぁ、そういう似たような境遇で、しかも似たような事情を抱えていれば、連帯感は生まれるだろうなとは思います。
…二人の元・花嫁には幸せになってほしいなと思います。
変なやつと結婚しなくてよかったと割り切って、新しい人生をスタートさせてもらいたいなと思いますね。
離婚ってとってもめんどくさいしね(体験談)。
…しかし、まさか結婚式の控室で『××』(「チョメチョメ」とお読みください)しちゃうとは…宮部さんもなかなかカゲキなこと書きますね…(笑)。

最後は表題作『昨日がなければ明日もない』。
杉村さんの大家さんの長男の嫁(一号)と子供から声をかけられて、クラスにいた問題児とその母親について相談される…というところから、あぁこんな所まで連れて来られるんだという感じがしました。
前回の『希望荘』の『二重身 ドッペルゲンガー』のときも書きましたが、やっぱり教育って大事なんだなと思います。
もちろん学校の勉強だけではなく、お金に関することとか、人に対する信頼とか、そういうことですね…。
短絡的に『体』を使ったりして、簡単に築いてしまった信頼関係っていうのは、もろくていびつなものが多いんだろうな、と。
今その中で、自分が快適に暮らしていけるんだったら、それでもいいのかもしれませんが…。
本人がよければ、本人はそれでいいんでしょうけど、周りがね…。
今回は、妹が一番振り回されて、かわいそうな役回りを演じさせられてしまいました。
『自分の人生』を、まともに生きることができませんでした。
姉の元旦那に対する甘い恋心、別にどうにかなりたいと思ってたわけじゃないでしょうけど、それを守るために、最後の最後で罪を犯してしまいました。
子供の漣もモンスターだとは思ってきましたが、多分最後の一線を超えて『捕食者』になってしまったという絶望を、感じてしまったんでしょうね。
こうなる前になんとかならなかったのか、考えてしまいますね…。
最後に『絶対零度』で出てきた刑事が訪ねてきました。
ここの伏線だったのか、と。
今度はちゃんと『仕事』してくれたみたいで、良かったです。

Audible と単行本だと表紙(?)が違うんですよね。
単行本の表紙には、杉村さんと、線描の3人の女性。
長いドレスを着ているのが2つ目の『華燭』の宮前静香さん?
それとも菅野みずきさん? …菅野さんの方かな…なんとなく。
ぺたんと座っているのが、3つ目の『昨日がなければ明日もない』の…だれだろう?
朽田漣か美姫かな…?
こちらもなんとなくですが、三恵さんではないような気がしました。
ということは、消去法でキャミソールを着ている女性が『絶対零度』ですよね。
多分、佐々優美かな…と思います。
田巻さんの奥さんではない…と思いました。
なんとなくですけど。
なんとなくばっかり。

これで杉村三郎シリーズは全部読みました。
長かった、でも、とってもおもしろかったです。
ただ、「『ソロモンの偽証』の文庫版最終巻の一番最後に、杉村さんが出てくる物語がある」というのを Wikipedia で読みました。
それはどういう感じなんでしょうか…?
『ソロモンの偽証』を Audible で聞いたら、その部分は入っているんでしょうか?
まぁいずれにしても、次は『ソロモンの偽証』ですね。
こっちも長いんですけどねー。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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