湊かなえさんの『山猫珈琲 下巻』を読みました。
先日の『山猫珈琲 上巻』の続刊です。
今回はまず『お題いろいろ』ということで、テーマを定めずにいろんなことが書いてありました。
確かに最初に宣言されていた通り、内容がかぶっているところもたくさんありました。
読んでいてちょっと驚いたことがありました。
こうやって、同じような内容を何回も書いたり、自分の過去を書き起こしたりすると、著者さんによっては話の内容が結構ぶれたりして、あとの方になればなるほど過剰に盛られてるなと感じることがあります。
でも、湊さんの場合はそんなことがなくて、毎回ちゃんとフラットに書かれているのがすごく好感を持てました。
やっぱり印象に残ったのは、『とうもろこしおばあさん』の話です…。
本書の中で2回ぐらい出てきましたが、確かに子供の頃にこれを読んでいたら、かなり印象に残って怖いだろうな、という内容です。
そういう絵本ってありますよね…。
私の中では『地獄』という絵本です。
ずっと怖くて怖くて、「悪いことしちゃいけない」と思いながら生きてきたような気がします。
ちなみに、今住んでいる家にもあります。
『とうもろこしおばあさん』は「食べ物を大事にしよう」という教訓なんでしょうか…。
あと驚いたのは、『仙台しだれ桜』というのが有名な木だということ。
お恥ずかしながらまったく知らなかった…。
私は仙台出身(微妙ですが、多分)なんですけど、自分の生活圏に生えていた桜の木は普通にソメイヨシノだったと思んですよね。
『仙台しだれ桜』が、湊さんの心に強く残る花だということもまったく知らず、むしろ「私見たことあるのかな」という感じでした…。
作家の有川浩さんと交流があるようで、それもなんだかすごく羨ましいです。
私は、有川さんの『図書館戦争』が本当に大好きで、何回も何回も読みました(特に、『別冊 図書館戦争II』)。
『図書館戦争』シリーズは Kindle 化も Audible 化もされていないんですよね…。
「(湊さんが)すごく辛かったときに、有川さんが寄り添ってくれた」という内容だったんですが、何か大変な事件でも合ったんでしょうか?
作家さんだから、「スランプで書けなくなった」とか、「心ない言葉を浴びせられてつらい思いをした」とか、そういうことがあったのかな、なんて想像してしまいます。
先日読んだ『往復書簡』『山女日記』に通じるような経験がここでもふんだんに描かれていました。
「あぁ、このシーンは、あの本のあそこだなー」なんて、答え合わせのようにできたのも楽しかったです。
今回『特別収録』とのことで、湊さんが過去に書かれた脚本が2つ掲載されていました。
ご本人も書いていましたが、確かにかなり強めのラブストーリーで、ちょっとびっくりしてしまいました。
そんな中でもぐっと惹きつけられるものがあって、どちらの作品もちょっと涙するような感じの内容です。
脚本ってあまり読んだことなかったんですが、映像化しやすいように描かれていたりして、小説とはちょっと違う感じですね。
こんな感じのストレートなラブストーリーだけの話というのは、湊さんの小説では読んだことがなかったので、すごく新鮮でした。
今回のエッセイを読んで、私の中で湊さんがすごく具体的に想像できるようになった感じがします。
そして、より好きになりました。
読んでよかったなと思いました。
Audible で読みました。
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