天地明察

読んだ本

冲方丁さんの『天地明察(特別合本版)』を読みました。
冲方さんの小説は初めてです。

以前、(元)V6の岡田くんと宮﨑あおいさんで映画をやっていたのは知っているんですが、ちょうど息子を妊娠・出産していたあたりなので見られなかったんですよね…。なので、すべて初見で読み進めました。
上巻と下巻の合本版なので結構な量でしたが、あっという間でした。おもしろかったです。

改暦という、あまり背景を知らない事業がテーマになっていて、いろいろ興味深く読むことができました。たくさんの人の叡智を結集させて作られたのが暦なんですね…。
もともと中国発祥のものを持ってきたわけだから、中国とは異なる経度のせいで日本では正確じゃなくなっていた。そのこと自体が驚きでした。よく考えればそうなんですけど、考えたことがなかったです。
「カレンダーを出せば儲かるぜ!」的な誘い文句に泥臭さを感じ(こんな下品な言葉じゃないです)、やっぱりいつの時代も金策には苦労したのね…ともしみじみ思いました。

話を全然知らなかったので、岡田くん演じる春海さんがはじめに別の人と結婚してしまったとき、「へ!?」と思ってしまいました。宮﨑あおいさん演じる『えん』さんと結婚するんじゃないの…? それとも、この『こと』さんが宮崎あおいさんなの…? と思っていたら、ことさん亡くなっちゃった…。やっぱり、村瀬殿の妹さんであるえんさんが宮﨑あおいさんですよね…? イメージに合っていた感じがしたのでちょっとホッとしましたけど。
読み終えた時点で映画版のキャストを見たんですが、あれ、ことさんは出ていない…? いなかったことになってるの…? なんか、春海さんがことさんをとても大事に思っている感じ、ことさんが亡くなってものすごく落ち込んでいるところ、だからこそ次の奥さんであるえんさんをとても大事に思っている様、そんなところが素敵だなーと思っていたので、なんだか拍子抜けでした。まー、この長さを2時間くらいでやるには、ざっくり削っていかないといけなかったんだとは思いますが。

物語では、『関孝和』さんという方にについて、かなり初期から話題に上がっていました。主人公の春海さんはずっと彼に会いたがっていたのですが、実際に会えたのはかなり後半になってからですよね。どんな人なんだろう…と私も楽しみにしていました。もう半分以上、『初恋の人』みたいな、『耳をすませば』の聖司くんみたいな感じに思っていました。
…が初対面でめちゃくちゃ怒鳴られて…。びっくりした…。春海さんは怒鳴られた理由をわかっていたようなんですが、私はわかっていなかったので「なんで怒られるんだろう?」と。ただ、その後の理由を読んでようやくわかったような…気がします。これは、いわゆる『巨人の肩に立つ』というのを、本人に無許可でやってしまっていた、ということでいいんでしょうか? 本来であればはるか昔に亡くなってしまった偉人の教えを拝借して…なんでしょうが、春海さんは同年代に生きている関さんたちが解明した算術の技術を、本人たちに無断で使ってしまっていたから…と。なるほどなー。今であれば『特許』的な感じなんでしょうけど、江戸時代ではそんなお役所もないだろうし(特許庁は1884年・明治17年に設置)。しかも、時期的に暦としては一旦敗北してしまったときだったから、余計腹が立ったんでしょうね。せめて勝てよ、とね。
いろいろ大人の事情があって公に参加できない分、その後も春海さんにたくさん助言を与えてくれて、本当に算術を愛する人だったんでしょうね。

キャストとしては、えんさんのお兄さんの村瀬殿が佐藤隆太さん。関孝和さんが市川猿之助さん。お二人ともイメージに合う感じですね。
春海さんをライバル視して碁の勝負をやりたがる本因坊道策が関ジャニ(SUPER EIGHT)の横山くん。はー、合うわー。なんかうざ絡みしてきそう(失礼)。
ことさんは出ていないとのことだったんですが、勝手に『鬼滅の刃』の猗窩座の恋人だった恋雪のイメージで読みました。10歳も年下だったんだから、そりゃかわいかっただろうしかわいがっただろうなぁ…。

最後、春海さんとえんさんは同じ日に亡くなったと書かれていました。多分創作なんだと思うんですが(Wikipedia には『妻: 不詳』とあるくらいなので)、本当にそうだったらいいな…と思います。ことさんのことは病弱だったから本当に大切にしていて、ただただ庇護の対象だったけど、それでも死なせてしまった。えんさんはずっと待っていてくれたし、算術という共通項もあって、もちろん大切にしていたけど、なんだか同士みたいな感じだったのかな…なんて想像していました。どちらも素敵な夫婦像なんだと思います。

本書は『天地明察』の本編の他に『【特別収録】日本改暦事情』という、中編くらいの話が入っていました。タイトル的になんだか難しそう…と思って読みましたが、内容としては『天地明察』から枝葉と恋愛事情を抜いた話、という感じでした。『天地明察』のストーリーを大まかに知りたいのであれば、短めですしちょうどいいかもしれません。私は本編からの流れでそのまま読んだんですが、「いい復習になったな」と思いました(笑)。内容はほぼ同一です。ただし、えんさんもことさんも出てきません。
初出が2004年となっていて、『天地明察』の連載が2009年だったので、こちらの方が先に出ていたんですね。プロトタイプだったということかな。ここにいろいろ付け足していって…という感じで膨らませていったんでしょうか。そう思うとこれもまたおもしろかったです。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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