夜行観覧車

読んだ本

湊かなえさんの『夜行観覧車』を読みました。
湊さんの小説は『高校入試』以来です。

Audible には湊さんの小説がたくさんあって嬉しいです。
去年もかなりたくさん利用させてもらいましたが、1年たって再度 Audible 会員になったところ、また増えていてとても嬉しいです。

最初は遠藤家の彩花に不快感しかありませんでした。
「母親、なんでこんなに暴言吐く子をのさばらせておくんだ」と。
まぁ途中で、彩花が今までどんな人生を送ってきたか、彼女の辛かった気持ち、母親に結構振り回されている、みたいなエピソードを知って、少しは納得しました。
それでも、やっぱり親に対してあんな口をきく子を放っておくのはどうかなと思います。

湊さんの小説に出てくる『中年の主婦』って、なんというか、どうしてこんなに浅慮な人ばっかりなのかな…と思うことがあります。
今回の真弓も、「もうちょっと考えて行動しようよ…」と思うところがたくさんありました。
主婦だからって知らないこと多すぎでしょ…とか。
そんなバカな人ばっかりじゃないよー…と思ってしまいます。
あとは、彩花の父親もクソみたいなやつだなと思ってしまって。
「この両親でこの娘だと、何というか妥当かもしれない」なんて思ってしまいます…。

一方で、向かいの高橋家。
3人きょうだいで、一番上は医学部、真ん中の姉もデキがいいっぽい。
一番下の母親似の息子だけが、まぁある意味普通というか。
でもそのせいで追い詰められてしまう、というストーリーでした。
かわいそうではありますが、こっちの母親も勝手に自分で自分を追い詰めてる感じがしました。
これも悲しかったですね、「もうちょっと考えようよ」って。

正直今回の話は、何と言うか『ミステリー的な大どんでん返し』みたいなものはありませんでした。
途中まで、「ひょっとして小島さと子が真犯人なんじゃないか」なんて思っていたんですけど、まぁそんなことはなく。
最初から提示されていた内容が、大筋正解だったという感じでした。

最後は「生きている人を大事にしよう」ということで、事実に少し脚色を加えたものを落としどころにした、ということでいいんでしょうか。
『殺人』という重大事件ではありますが、あくまで家庭内で完結した内容でしたし、小説内にも出てきていましたが「周りの人がとやかく言うような話ではない」という気持ちもわかります。
内情をまったく知らない人たちが、おもしろ半分興味半分でとやかく言っていました。
汚い言葉を世界中に撒き散らして、本当に何なんだろう…と暗ーい気持ちになりますね…。

今回は、何と言っても医学生長男の彼女がむかついたかな。
なんなんだ、あいつ。
ああいう、ちゃんと考えられないバカみたいな女ばっかりだと思われると、本当に腹が立ちます。

一方で。
小島さと子がなんだかすごかったです。
幕合い的に登場させて、コミカルな役回りもさせていましたが、ムカつくヤツであることは変わらない。
何と言っても、堂々と人の家に中傷のビラを貼ったり、石を投げて窓を割ったりしているわけですからね。
結局は夫も帰ってこない、1人息子も嫁さんの方に取られてしまう、という寂しい老人だったわけですけど、一番最後に書かれていた通り、ちゃんと役割を与えると120% のパワーを発揮して責務をこなしてくれるんだろうなと。
一番厄介な人が味方につくのは本当に心強いのかもしれません。
(DQ6 のテリーは微妙でしたが)
高橋家の子どもたちは、まぁ利用する感じになってしまうんでしょうけど、慰謝料だと思って存分に利用させてもらったらいいんじゃないか、と思いました。

外側から見ても不幸そうな家族が、ある事件をきっかけになんとか家庭を修復していく話、なのか。
外側から見ると幸せそうな家族だったのが、急に大変な事件を起こしてしまった話、なのか。
なんだかとても難しくて、いろいろ考えさせられる話でした。

今回の朗読は安田章大さんでした。
湊さんの Audible は毎度豪華ですね…。
この話がドラマ化されたときの、医大生息子役だったそうです。
小説では「あんまりかっこよくない長男」という存在だったと思うんですが、かっこいいですよね。
まぁ、仕方ないですかね(笑)。

Audible で読みました。

[AD]夜行観覧車
さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

さちこをフォローする
読んだ本
シェアする
さちこをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました