告白

未分類

湊かなえさんの『告白』を読みました。

この『告白』は、発売されたときに一度読みました。
おもしろかったですねー。
続々しながら読んだのを覚えています。
でも…もう15年以上前なので、正直あまり覚えていなくて…。
なので、今回 Audible で読めると知ったときは小躍りしましたねー。

いやー、記憶に違わず、めちゃくちゃおもしろかったです。
一番初めの、学校の先生がクラスのみんなに辞職の挨拶をするシーンがすごく印象的だったので、そこのイメージばかり覚えていたんですが、全部で6つの章立てになっていて、それぞれがそれぞれの視点で描かれていました。
キーとなった森口先生の娘さんの事件に対して、それぞれの人にはそれぞれそういう背景があって…という感じで、物語の奥行きをすごく感じました。

そもそもの森口先生の娘・愛美ちゃんが亡くなってしまった事件。
先生から見た背景だと、やっぱり愛娘が殺されてしまったという悲しみ、犯人の生徒に対する憎悪、そこからの悪意がすごく浮き彫りにされていました。
でも、その後の章で次の美月ちゃんから見ると、また全然違う感じの背景が見えてきました。
そして…悲しいことに、彼女も殺されてしまったんですね…。

直樹くんのお母さんに関しては、お姉さんの視点ではあったけど、お母さんの日記が読まれる形で展開されていました。
まー…正直ちょっと気持ち悪いなと思いましたね…。
この結果は母親からの攻撃に対する正当防衛なんでしょうけど、彼にとっては捕まった方が楽になれただろうなという感じでした。
警察病院かなにかで検査をしてもらって、自分が感染していないことを明らかにしてもらって、殺人の罪を償って生きていってほしいです。

そして渡辺くん。
…まぁ何だろう、子供ぽいところと大人っぽいところが、なんか微妙にずれて共存しているがために、すごくちぐはぐな感じで気持ちの悪い子だなと思いました。
なるほど、母親に捨てられたみたいな、そういう背景はとてもかわいそうではあるんですが、なんか行動とかすべてが母親に繋がってるみたいな感じがして、それも気持ちが悪かったですね。
母親のことをアイデンティティにしすぎで…。

一番最後、森口先生が爆弾を仕掛け直したっていうのはすっかり忘れていたので、「あーそっか! そういう話だったわ!」と思って、驚きと爽快さに一気に襲われました。
そうだよねー、自分とは全然関係のない人たちを大量に巻き込んで殺すよりも、ちゃんと自分のターゲットに仕掛けるべきだよねー。
自分で愛する人を殺してしまった心境とはどんなものなんでしょうか。
その前の美月ちゃんもかわいそうではありましたが…まぁ絶望しかないでしょうね。

湊さんは『イヤミスの女王』って言われていますが、私はこの『告白』に関しては結構スカッとするというか…。
性格が悪いからなんでしょうか…?
でも、そこまで『イヤミス』っていう感じではないんですよね。
もちろん娘さんが殺されてしまったことはすごくかわいそうだし、旦那さんも死んでしまったから、一人ぼっちになってしまって気の毒だなとは思います。
でもまぁ、復讐を完遂できたから、「気分爽快!」までは行かないでしょうけど、胸のつかえは落ちたのかなと思ってしまいますね。

久しぶりに読んで、本当におもしろかったなと思いました。
Audible の朗読は橋本愛さんでした。
松たか子さん主演の映画『告白』で、美月ちゃんの役をやっていたという縁から、今回の朗読担ったそうです。
最後に湊さん自身が橋本愛さんと対談しているところが収録されていました。
湊さんはこの『告白』で本屋大賞を受賞した時のインタビューをたまたまテレビで見たんですが、すごく前のめりに話す方だなと思っていました。
今回のこのインタビューでは、その印象がまったく変わってなかったのでびっくりしました。
橋本愛さんは演じ分けもすごく上手で驚きました。
はじめ、「(本職の声優さんじゃなくて)女優さんの朗読だから、正直うまく聞けないんじゃないかな」って不安があったんですけど、まったくそんなことなくて。
本当に上手で聴き応えがありました。
とても贅沢な時間を過ごせたと思います。

[AD]告白
[AD]Audible

コメント

タイトルとURLをコピーしました