名もなき毒

読んだ本

宮部みゆきさんの『名もなき毒』を読みました。
先日の『誰か Somebody』の続刊です。

誰か Somebody
宮部みゆきさんの『誰か Somebody』を読みました。宮部さんの小説は『理由』以来です。 杉村三郎シリーズの第1弾です。当時購入して読んだんですけど、事件の結末とストーリーの結末しか覚えていませんでした。細かい枝葉はほとんど忘れていました

『杉村三郎シリーズ』の第2弾です。
このシリーズは今のところ第5弾まででていますが、私が読んだのは第3弾まで。
なので、大まかな流れは知っている状態での再読です。
先がわかってるからなんですけど、なんだかどんどん家庭が不穏になっていくような気がして、相変わらず気が重いです…。

アルバイトとして来ていた女性・原田(げんだ)いずみと一悶着あって、調査事務所の北見さんという男性と知り合いになります。
北見産との出会いが、ある意味杉村さんのターニングポイントになるんですかね。
先を知っているから言えることですけど。
北見さんと交流をすることで、古屋一家の事件、世間を賑わす『連続無差別毒殺事件』に巻き込まれていきます。
最終的には原田いずみの件も古屋一家の事件も、新聞沙汰になるほど大きな事件になったので、前回の『誰か』に比べると規模が少し大きめでおもしろかったです。
…「事件に大きいも小さいもない」ですけど。

にしても、この『原田いずみ』という女性、多分病院受診させたらなんか病名がついちゃうような感じの人物だったんだろうなと思ってしまいます。
自分がついた嘘を真実だと誤解していくのか、真実だと思い込もうとしているのかはわかりませんが、そう思い込んだことを軸にして生きていくもんだから、どんどん歪みが生じてきてしまいます。
そして、その歪みを正すために、さらに嘘を重ねるみたいな。
…生きていて辛いだろうなと思う性格でした。
やっぱり嘘はついちゃいけないんだなって改めて思います。
周りの人に迷惑かけないためっていうのもありますが、それだけではなく自分のためにも。
勝間和代さんも「嘘はコストが高い」と仰っていましたが、まさにそのとおりですね…。
1つの嘘からどんどん他の嘘が着いてきてしまう。
それを覚えていなくてはいけなくなるので、負担も大きいです。
こういうのって、子供たちにもちゃんと伝えていかなければいけないことなんだろうなと思いました。
自然と身に着けてくれるといいんですが、それは難しいかもしれないな、と。

あとは、菜穂子はともかく、杉村さんはもうちょっと人の悪意に敏感になった方がいいんじゃないかなと…。
傍から見ててもかなり危なっかしい感じがします。
そりゃー、身の回りに杉村さんみたいな人がいたら、まーヘイトを集めるだろうなと思ってしまいますね。
本人はすごくいい人なので、その部分が救いでもあり、ムカつくところでもあるかもしれないです。

外立くんは、なんか本当にかわいそうな恵まれない子供だなという印象でした。
もうちょっとだけでも何かが違ったら、こんな大事件を起こさずに済んだかもしれないのに、と。
また、いろんなものが噛み合わさってこんな事件に発展していってしまったから、何か一つでもちょっとずれてたら大事にはならなかっただろうなと、本当に思いました。
精神科医の益田先生がよく言っている「6の目が連続で何回も出る」(=ありえないと思うような不幸が連続して一人の身に起きる)っていうのは、多分彼みたいなことを言うんだろうなって思いました。
やってしまったことはとんでもないことだけど、ちゃんと償って生きていってほしいなと思う。
まだ若いのでね…。

にしても、先を知ってるからなんだろうけど、菜穂子のことがイラついてイラついて仕方ないです。
わがままお嬢ちゃんで嫌になってきちゃう。
大きな家をポンと手放せるような恵まれた生活、しかも、彼女自身の財力ではないですからね…。
私は周りにこれだけのお金持ちがいる状態を経験したことはないですが、高校生の時の「月10万円お小遣いもらっている」っていうクラスメイトに、やっぱりちょっともやもやした気持ちを抱いたことを思い出しました。
抱いたって仕方ないんですけどねー。

ドラマ版では、原田いずみは江口のりこさんが演じられたそうです。
江口さんと言えば、なんというか個性的な女性を演じられることが多いように思います。
もちろん、原田いずみも個性的ではありますが、そういうんじゃなくていい意味での。
なので、Wikipedia でキャストを見たときは違和感があったんですが、想像していくうちに「とってもうまく演じてそう…!」と思うようになってきました。
ものすごく安定感のある女優さんですもんね。
で、杉村三郎は小泉孝太郎さんです。
ちょっと前にたまたまネットの記事で、映画『愛に乱暴』のことを読みました。
インタビューで「わたしは10年前にも(小泉)孝太郎さんを追いかけ回すという役をやったんです」と仰ったと見て、「あー、『名もなき毒』だ!」と思いました。
ドラマ、10年前かー!
『名もなき毒』の単行本が2006年ですしね…。
ときの流れるのは早いものです。

次が、私が杉村三郎シリーズを読んだ最後の作品のはずです。
結末は大体覚えています。
ただ、その過程は結構すっぽり抜け落ちています(笑)。
申し訳ないけど楽しい結末じゃなくて、それでもに向かうのはとっても憂鬱ではありますが、ここまできたから完遂したいと思います。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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