作家刑事毒島の嘲笑

読んだ本

中山七里さんの『作家刑事毒島の嘲笑』を読みました。
中山さんの小説は『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵 2』以来です。

銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵 2
中山七里さんの『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵 2』を読みました。先日の『静おばあちゃんと要介護探偵』の続刊です。今回も連作短編集。各章のタイトルをアガサ・クリスティの小説から取っているのも、前回同様です。いつか読んでみたいと想いま...

相変わらずの中山七里節でしたねー!
まさかの真犯人に驚きました。
その方向から来るとはまったく思っていなかったので、本当にびっくり。

全編を通じて大体が『対テロリスト』という感じの話でした。
以前も思ったんですが、こういう物語で描かれるテロリストって、だいたいが掲げてる大義名分を隠れ蓑にして自分の私利私欲で動いてるというのが多いですよね。
今回もそんな考えが強化される結果になったような気がします。

毒島さんは相変わらず飄々として人を煙に巻く感じです。
やっぱりものすごく頭がいい人なので、そういう自分の行動なんかも全部計算のうちに入ってるのは本当にすごいなと思いますね。
今回は5つの事件と最後のエピローグという構成でしたが、沖縄での尋問(?)では『自分は部外者で作家である』ということを前面に出して、それを利用して犯人を陥れていました。
刑事・作家の自分の肩書きなんかも全部存分に使い分けるところが、本当にすごいなと思います。
容疑者を追い詰めることに情熱を傾けているというか…。
自分でも『天職』と言っていましたし、私も本当にそうだな思いますね。
作家との二足のわらじは、それぞれの仕事がお互いの長所をより引き立てていたり、足りないところを補ったりするような絶妙な関係なので、本当にどちらも天職なんだろうなと思います。
そして、この2つの仕事を兼業できるのは、世の中に毒島さんだけなんじゃないかな、と。
お互いがお互いを高め合っているでしょうしね。
もちろん、警察を退官した後に作家になるというのはたまにあるとは思いますが、両方同時にしているのは聞いたことないですね…。
というか、公務員って副業していいの? っていう私の考えが古いですか?
『技能指導員』だと、それは許されるということですか?
むしろ、『刑事』の方が副業ですかね…。

今回は、すべての謎を解いて黒幕を暴き出した毒島さんはもちろんすごいなと思いますが、この計画を企てた真犯人もすごいなと思いました。
まさか『そういう思い』があっての犯行だったのか、と。
今回、仮に毒島さんが出張ってこなかったら、捕まることもなくこのまま闇に葬られちゃったんだろうなと思いますね。
…まぁ、内容からしても、ちょっと同情もしますけどね…。
結果的に『壊滅』させることができたというのは悪くない行いだったわけで、複雑な気持ちもあります。
でも、犯罪は犯罪ですし、逮捕せざるを得ないんでしょうね。
心情的には微妙だなぁ、と。

今回は高千穂ちゃんが出てきていました。
私にとっては『ラスプーチンの庭』以来です。

ラスプーチンの庭
中山七里さんの『ラスプーチンの庭』を読みました。中山さんの小説は『総理にされた男』以来です。 刑事犬養隼人シリーズの第6弾です。このブログを書くようになってからはまだ読んでなかったみたいですね。 犬養刑事自体は中山さんのいろんな小説に出てい

「同期だ」と言っていたので、これから今野敏さんの『同期シリーズ』みたいな感じになっていくのかな、なんて期待もあったんですけど。

同期
今野敏さんの『同期』を読みました。今野さんの小説は『スクエア 横浜みなとみらい署暴対係』以来です。 『殺人ライセンス』を読んだとき、今野さんの小説は初めてって書いたんですが、ずっと「何かおかしいな…」って思ってました。 で、ちゃんと調べたら

残念ながら、そうはならなかったです。

今回は作家刑事毒島シリーズの第3作ということで、一応今まで全部読んでますね。

毒島刑事最後の事件
中山七里さんの『毒島刑事最後の事件』を読みました。中山さんの小説は『特殊清掃人』以来です。 2ページくらい読んで、「あ、これ読んだことあったわ」と。なので犯人もぼんやりと思い出した状態で再度読みました。それでもやっぱりおもしろかったです。

シリーズはあともう1作あるみたいなので、そちらも機会があったら読みたいと思っています。
今回の解説は斜線堂有紀さんで、以前読んだ『廃遊園地の殺人』の作者の方です。

廃遊園地の殺人
斜線堂有紀さんの『廃遊園地の殺人』を読みました。斜線堂さんの小説は初めてです。 廃遊園地と聞けば、思い出すのは『NieR:Automata』の『遊園地廃墟』と曲の『遊園施設』ですよね! …いや、異論は認めます。私はあのステージが大好きだった

その解説の中に書いてあったんですが、中山七里さんと知念実希人さんと葉真中顕さんの3人の共作の方があるとのこと!
お三人とも好きな作家さんなので、そのようなものの存在自体が嬉しい驚きでした。
是非ともそちらも読んでみたいと思いました。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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