知念実希人さんの『レゾンデートル』を読みました。
知念さんの小説は『崩れる脳を抱きしめて』以来です。
『レゾンデートル』はフランス語で『存在理由』という意味。
この作品は知念さんのデビュー作で、はじめは『誰がための刃 レゾンデートル』というタイトルだったそうです。
なるほど、読み終えてタイトルも元タイトルも納得です。
外科医の岬雄貴は末期がんを宣告され、自暴自棄になり堕落した生活を送っています。
ある日深夜のコンビニに行き、チンピラに絡まれて暴行を受けた雄貴は、復讐を誓い生活を一転させて体を鍛え上げ、チンピラを殺害してしまいます。
しかし、なぜかその殺人は今世間を震撼させている『切り裂きジャック』の犯行と認識されてしまいました。
そして『切り裂きジャック』は雄貴へ接触を図り、指定した人物の殺害を指示します。
従わなければバラされてしまうため、雄貴は指示に従い次々と人を殺めます。
ある犯行の帰り、たまたま少女が襲われている現場に出くわし、雄貴は気まぐれで少女を助けます。
少女・沙耶に懐かれた雄貴は彼女を家に住まわせ、引き続きジャックの指示をこなす毎日を送ります。
沙耶の存在は少しずつ雄貴の中で大きくなっていくものの、殺人者である自分は彼女に関わってはいけないと思い、そして自分の残りの人生の少なさに絶望します。
沙耶はなぜ命を狙われているのか、ジャックの正体・目的はなんなのか。
それらがわかったとき、雄貴は自分の生きている意味を懸けて彼女の命を守ろうとします。
目次を見ると、第1章から第5章まで、それぞれ『否認』『怒り』『取引』『抑うつ』『受容』というタイトルが付けられています。
あー、これ、樺沢先生が言ってた「病気を受け入れる5つの段階」だ!
各章のタイトルに沿った形で雄貴の心情が変化していきます。
…通常の5つの段階よりもかなりハードな感じの段階ですけどね…。
前回の『崩れる脳を抱きしめて』のように、元恋人で現親友の女医である真琴が出てきます。
彼女も前回の冴と同じように、やっぱり失恋しちゃうんだなー。
知念さんの書く女医さんにも、失恋以外の道を用意してあげてほしいです(笑)。
デビュー作がこれなんて、なかなかのインパクトだったんでしょうね!
さすが本職だけあって、腹水を抜くシーンとかリアルでドキドキしました。
知念さんの小説、これで5冊目かな?
まだまだたくさんあるみたいなのでまた読んでいきたいです。
Kindle Unlimited で読みました。
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