道尾秀介さんの『シャドウ』を読みました。
道尾さんの小説は『スケルトン・キー』以来です。
いやいや…いろいろ騙されましたねー!
主要な登場人物は何人かいるんですが、まず『お父さん』である我茂洋一郎に疑いが向くように、まぁ『ミスリード』されています。
私はそれを真に受けたので、お父さんがどんどん怪しくヤバイ人に見えてきました。
ところが。
実は全部それが演技だということが分かり、お父さんの本当の目的が明かされます。
「誰が黒幕か!?」と消去法で考えていたところ、同僚の女精神科医・竹内か、恩師の田地しかいなくなってしまいました。
「まさか」と思ったらそのまさか、田地が黒幕でした…。
主人公の凰介くんの幼馴染・亜紀ちゃんが、病院の屋上で今までの体験を告白するシーンがあります。
それがもう苦しくて苦しくて…言葉にならないです。
自分の初潮の経血を見て以前レイプされたことを思い出すとか…小学5年生にこんな酷な体験をさせるなんて…。
凰介くんが「亜紀ちゃんを守らないと」と思ってくれたことは、本当に救いだなと思いました。
あれぐらいの年頃の子だと、そういうふうに思うかもしくはもドン引きするかの二択になっちゃうかなと…。
これからもできれば、亜紀ちゃんの力になってあげてほしいなとは思います。
そして田地。
こいつは本当にギルティーです。
パッと見あんなに感じのいい人だったのに、本当に騙されていました。
彼は彼で、生い立ちでそういう人格が形成されてしまったところに同情はするけれど、だからと言ってねー…。
自分の権力と地位とをかざしてそんなことをしていいことには、まったくならないです。
でもまぁ「過去にそういう経験をした人は、性交渉の相手を人間として見ることができない」というのは、なるほどそういうことかと腑に落ちた感があるにはあります。
亜紀ちゃんにはそうならないで欲しいなと、心から願うばかりです。
こういうのは、本当に負の連鎖ですね…。
凰介くんのお母さんもとてもつらい目に遭わされました。
亜紀ちゃんも本当にかわいそうで仕方ないです。
田地は、地獄に落ちたかどうかまで確認しておきたいと思ってしまいます。
…しかし、お父さんの演技派っぷり、計画性には本当に驚嘆しましたね…。
すべて計算づくだったとは…。
25年ほど前に『39 刑法三十九条』という映画がありました。
鈴木京香さんと堤真一さんが主演していた、刑法39条を題材にした物語です。
『心神喪失』『心神耗弱』などを知った初めての作品でした。
話の流れや結末は全然違いますが、この『シャドウ』を読んでこの映画を思い出しました。
あとは、やっぱり家庭内の夫婦仲って大事ですね。
改めて、夫とはできる限り仲良くしていこうと思いました。
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